新・rona9229の日本サッカー応援の軌跡

移行しました。単なる素人です。がんばります。 

『京都スタイル』というアイデンティティ 『欧州サッカー批評』の記事から考える

双葉社の『欧州サッカー批評』第7巻(双葉社 2013)にモウリーニョのインタビューが載っていた。モウリーニョは賛否両論ある人だが、興味深く読ませていただいた。

戦術的な理論などを読ませてもらえるかと期待したのだが、あまり触れられておらず、レアル・マドリーアイデンティティバルセロナのサッカーとの比較に反論する内容が載っていた。

基本的に僕は京都サンガを第一に考えているが、他にもいろいろなチームが好きだ。これから僕はレアルの肩を持って書く。ただ、自分はバルサのサッカーは嫌いではないと断っておく。(過去のデル・ボスケが率いたチームへの愛着の問題だ)

WOWOWがリーガの放映権を取ってから、ずいぶん試合を見せてもらってなかったが、昨年からスカパーに入ったのでチャンピオンズ・リーグで、ずいぶんバルサも、レアルの試合も見た。どちらも面白かった。バルサには称賛の声が、レアルには批判の声が多いらしいが、僕はどちらも素晴らしいチームだと思う。

「重要なのは、アイデンティティの違いだ、そして出している成果も大切だ」、そうモウリーニョは説く。以下にその文を引く。(『欧州サッカー批評』第7巻 P18)

——結果に重きを置かずに、スペクタクルの面だけに興味を持つことには意味がないといいたいのですか?

「そうだ、コンセプトに対しての懐疑がある。君はピカソとモネではどっちかな?」

——モネです。

「私もそうだ。だがピカソも凄いぞ!ただし金があっても買うことはないが」

——本気ですか。小品でも買わないということですか?

「(笑いながら)ノン、アミーゴ。もし私が居間に飾る代表作を買うとしたら、それはモネになるということだ。だがそれに対して多くの人間が、『お前の気は確かか、モネなんかやめてピカソを買え』と言う。その意見は正しいのか?

私は昨季のレアルができるだけ早く到達したいと願ったレベルにチームを引き上げたし、繰り返すが昨シーズンのレアルは、結果もプレースタイルも効率性もスペクタクルも、すべてがうまく噛み合っていた。アイデンティティこそが重要なんだ!完璧な理想を追い求めるあまり、理想とするスタイルのコピーになってしまうことがよくある。だがレアルは違った。我々には本物のアイデンティティがプレーにあった」

この記事(インタビュー)を書いているのはヴァンサン・マシュノー(訳は田村修一)、たしかフランス・フットボール誌の記者で読者はフランス人、だがモウリーニョはスペインのレアルの監督、モネはフランスの代表画家、ピカソはスペインの代表画家、という背景を踏んだうえで、「モネはモネ、ピカソピカソだ、レアルはレアルで、バルサバルサだ」というモウリーニョのメッセージを読まなければならない。

そしてこのモウリーニョの言葉は、どのクラブにも通用する。「我々は我々だ」、「京都スタイルは京都スタイルだ、完璧を追い求め、理想とするスタイル(バルサやレアル)をコピーするのではなく、長所も欠点も含めた本物のアイデンティティが必要だ」、とも読める。

スカラー・アスリート、育成の重視、地域を応援する、というクラブ方針に始まって、攻撃サッカー、パスサッカー、ポゼッション、勝つ美しいサッカー・・・。京都独自のアイデンティティを自らの手で作り上げることが大切なのだと思う。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』  岩崎夏海 (ダイヤモンド社 2009、下の記事でこれについては書いた)に「ノーボール」「ノーバント」という特徴的なスタイルを野球部が採用するシーンがあったが、そういうことだと思う。自らの武器を持つ。自らの強みを認識することだ。そしてそれを尖らせていく。

バルサのようにスペクタクルを重視するか、レアルのように勝ちながらスペクタクルを得るか」というのは歴史から生み出された、長い長い伝統をもつもので、レアルのためバルサのスペクタクルを頑なに拒み語らないモウリーニョも確かに頑固だと思う。が、「アイデンティティこそが重要なんだ!」というモウリーニョの叫びは心に響く。自チームの個性への愛着は尊敬に値すると思う。

さて、関西には攻撃サッカーを標榜するチームが多い、G大阪もそうだし、C大阪もどちらかと言うと攻撃に重点を置いたサッカーをすると思う。(神戸はやや違うようだ)京都は大木監督になって方向性を、『京都らしい攻撃サッカー』を打ち出したが、腰を据えて自分のアイデンティティを極めていくべきだと思う。監督は魅せるサッカーと話されている。個人的には「勝つ魅せる(スペクタルな・ファンタスティックな)サッカー」であってほしいが、監督、GMの手腕が発揮されるのを楽しみにしている。

さあ、もうすぐ2013年のJ2の幕が開く。「さあ、いこうぜ、胸を張って、紫の勇者たち・・・」。お楽しみは、これからだ。

(敬称略)

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